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職人さんインタビュー

福永念珠舗 福永荘三さん1

第二回は、寛政九年(1797年)創業、200年以上の歴史を持つ福永念珠舗の九代目当主、福永荘三様に「お念珠のお話」をお伺いしました。

当主として商品の開発や販売に尽力する傍ら、各地での講演会や、京都の様々な会の役員をされている荘三様。お話がとても分かりやすく面白く、私のつたないインタビューも随分助けて頂きました。ところが、荘三様も「30歳の頃は人前で話ができなかった」とのことです!人間、努力と慣れでこんなにも変われるものなのだという、励みになりました!

貴重なお話を沢山して頂き、なるべく全部を載せたいので、2回に分けて掲載します。今回は、「お念珠のお話」について、掲載します。


お念珠のお話

*お念珠とはどういうものなのか、歴史等を教えて頂けますでしょうか。
仏教がシルクロードでインド仏教から中国仏教に伝来され、そして日本に仏教が伝来したのは西暦552年という説が有力です。約1500年前に日本に入るまでは仏教は中国禅堂の一つの宗派しかありませんでした。お数珠の形も108個の玉が輪になって繋がっているだけのものでした。
日本に仏教が伝来後、現在の各宗派の開祖が教典をもとに仏教の受け取り方や解釈の違いから、「宗派」が分かれていき、それにともないお念珠の形も各宗派によって異なった形のものができていくことになったのです。

*御社のホームページを拝見するまでは知らなかったのですが、お数珠の種類も宗派によって違うのですね。
そのとおりです。宗派が分かれ、平安・鎌倉の時代にそれぞれの宗派でお数珠を使用する用途や意味合いの違いによって、使いやすいように数珠の形が変わり、現在の形の原型が形成されたんですよ。
元々はお経をとなえる数を数えるための道具だったので、「数珠」というんです。
浄土真宗などでは「念珠」といわれています。

*今のように様々なバリエーションができるのは、まだ先なのでしょうか。
平安・鎌倉時代は、まだまだお数珠は貴重品で、僧侶や貴族など位の高い方しか持てないものでした。でも、江戸時代になって、宗教をもっと一般の方に広めたいという思いから、在家の方々にも持てるように、中国で使われていた手に合わせた一輪念珠(単念珠や省略念珠ともいう)が作られ、その後には小さな腕輪念珠等が作られるようになりました。

正式なお数珠は元々108個の主玉で構成されますが、主玉の数を4つに分けて27個にすれば、4人の人が持てるようになる。
省略こそはするけれども、皆さんが手を合わせるために使用できるんです。これによって一般の方にも念珠が一気に普及しました。

私たち数珠を作る職人達も、江戸時代になって屋号をもらい商いをさせて頂けるようになります。それまではそれぞれのお寺が必要とするお念珠を作る職人でしかなかったんですよ。

今は、一輪念珠の女性用なら珠の大きさは10mmまで、男性用なら10mm以上で輪の寸法も違うため、玉の数はこだわっていません。また、最近ではブレスレット等の洋服にも似合い携帯しやすいものもお作りしています。

*小さな頃からお数珠を使う機会はありましたが、自分で選ぼうと思うと、敷居が高いというか、なかなか自分で買おうは思わないのですが。
若いうちはまだお数珠との出会われる方が少ないのですよ。例えば将来、身近な方が亡くなったら、自然に手を合わせたいと思う気持ちが生まれます。
すると、自分で買い求めようと思うようになるんです。今まで自分たちのご先祖さまがしてこられたことが順送りでされるようになります。
また、結婚等の時に親が子供のために買い求められる場合もありますが、若いうちはなかなか自分で買おうとは思わないもの自然なのかもしれません。
きっといつかは買いたいという気持ちになる時が来ると思いますよ。

*その時は、どのようなものを買えばよいのでしょうか。
お念珠は高価なものがいいという訳ではありません。数百円のものでも大切に毎日使う人もいれば、何十万もするものを買い求められてもタンスの肥にしてしまう人もいる。合掌をする手に使って頂けなければ、私たちがお念珠を作っている意味がないのです。仏前で、ご先祖様の追悼供養のためや日々のご報告をしたり、不安な気持ちがあった時に向き合ったり、そのように使って頂けるよう一心を込めて作らせていただいています。お念珠は飾り物ではないんです。今は綺麗な貴石等の種類が増え、おしゃれ感覚の要素は強くなってるけれど、今のように様々な玉の色や、房の色をつけるようになったのもほんの15年ぐらい前ですよ。

*私たちはお数珠を通して、どのようなことを学ぶことができるのでしょうか。
私が思うことには、珠数は必ず輪の形をもって形成されますね、棒状にはなってない、固まりになってない、輪になっていて玉が規則正しく並んでいるからこそ数珠として使うことができる。その輪の中にあるたくさんの玉の一つがあなただとお思いください。周りに並んでいる玉は、今すでにご縁があるご両親やご友人、そして、まだ見知らぬこれからのご縁の方なのです。そういう方々が一つの輪に並んで綺麗に並んでいるから、今、自分が生かされていることを分かっていただきたいと思います。玉の中に通っている糸が、そのご縁を繋ぎ止めている心の糸と思って下さい。「こんな奴いらんわ!」と思ってそこにハサミを入れると、一瞬にして全てがバラバラになってしまいますね。
簡単に思われがちですが繋ぎ止めることは難しいです。常に自分を囲んでいる周りの人やものに感謝して、人のことを考え、心を輪のように丸くして、共に生きていけるように考えましょう。そういう気持ちでお数珠をお使い頂ければと思います。

★私たち日本人にとって、お念珠と言えば最も身近な仏具の一つですが、そのお数珠が持つ意味や歴史を知らずに使っている方も多いと思います。このようなお話を聞くと、これからお念珠を持つ時の気持ちが変わりますね。
今回は「お念珠」のお話でしたが、次回は「職人」としての荘三様のインタビュー記事をアップしますので、どうぞお楽しみに!


*お念珠について、もっと詳しく知りたい方は、福永念珠舗様のウエブサイトをご覧ください!

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